第53回ネット句会結果

互選高点句	
十点句 
上履きのつま先固き九月かな    花うさぎ
九点句  
太刀魚のひかり引き抜く日本海   隆夫
蜩や踵に余る男下駄        りり子     
七点句 
八月のこゑださずとも祈りの手   りり子

藤本美和子主宰選
特選
上履きのつま先固き九月かな    花うさぎ     
「休暇明」の嬉しさと緊張感。曰く言い難い心理が出る「固さ」。
入選
つるむらさき色よく茹でる厄日かな 葉子
八月の木の影踏んで倶会一処    菊恵
掃除当番ひぐらしを聴くばかり   麻美
八月やボトルの水とけふの雲    のびる        

菅家瑞正選
特選
蜩や踵に余る男下駄        りり子
中七の措辞から作者はおそらく女性であろうが「蜩」が実に巧者。
入選
提げてゆく供花の湿りや秋の虹   麻美
底紅や墓石に母の名がひとつ    美砂子
桃をむく刃物じわりと汁こぼす   岩魚
ただいまと西瓜に言ひて上がりけり 京子

陽美保子選
特選
秋口の音のカーテンレールかな   瑞正
カーテンレールが俳句になるとは。その音に秋を感じる感性がいい。
入選
家中に入る朝戸風盆迎       のびる
瑞牆山の秋めく岩となりにけり   憲明
上履きのつま先固き九月かな    花うさぎ
八月の十畳敷きの青畳       直穂子