第54回ネット句会結果

互選高点句	
十一点句 
湧き水に露草の色こぼれけり    由美子
十点句  
鳥ごゑを聞き做すことも秋遊び   菊恵
八点句  
ムックリの響きあふおと星逢ふ夜  杣むぎ
七点句  
虫の音に立て掛けておく猫車    小芥子
月代や温みありたる河原石     タミ子
風を呼ぶ穂草の丈の揃ひ      瑞正

藤本美和子主宰選
特選
鳥ごゑを聞き做すことも秋遊び   菊恵     
「鳥渡る」頃の季節感を素地にした「秋の野遊び」。表現秀逸。
入選
山葡萄つまめば昼の月失せて    のびる
札所への階けはし山ぶだう     直穂子
日照雨して色づきそめし山葡萄   せんかう
小鳥来る石一枚の井戸の蓋     春子        

菅家瑞正選
特選
虫の音に立て掛けておく猫車    小芥子
「虫の音に」の「に」が巧者な表現。収穫期の一景が見えて来る。
入選
札所への階けはし山ぶだう     直穂子
月代や温みありたる河原石     タミ子
黒潮の崖打つ音や秋つばめ     モネ
山葡萄食めば思ほゆ疎開の日    健

陽美保子選
特選
月代や温みありたる河原石     タミ子
月代のほの明るさと河原石に残っている日のほのかな温みが通う。
入選
開ききり隙間だらけの曼珠沙華   春子
山葡萄つまめば昼の月失せて    のびる
虫の音に立て掛けておく猫車    小芥子
秋口の白雲木の葉裏かな      菊恵