第55回ネット句会結果
十二点句
一斉に草の絮とぶ旅鞄 麻美
荒草に日のゆきわたる鵙の声 小芥子
八点句
軸太の万年筆や秋深し とし子
暫くは日照雨の中の花野かな 瑞正
秋深しエスプレッソの蒸気音 とし子
藤本美和子主宰選
特選
包丁を研ぐ不知火をまなうらに のびる
謎めいた季語と現実の包丁。取り合わせに意外性があり新鮮。
入選
頼朝の山実朝の秋の海 憲明
荒草に日のゆきわたる鵙の声 小芥子
秋深し枯山水も庭石も しんい
みせばやや一日にひとつ事なして 志向
菅家瑞正選
特選
蔓たぐりついでの草を引きにけり 菊恵
瓜や豆などの枯れた蔓を取り除く作業。「ついでの」が実に巧妙。
入選
倒木の肌粗々と露葎 のびる
風に落ち水に流るる木の実かな 他家人
渋墨の塀の木目や秋深し 憲明
山からの雨の気配や蕎麦の花 りり子
陽美保子選
特選
菱の実をてのひらに置く日暮かな 葉子
菱の実を手に眺めていると想像は古代へ遡る。下五に余情がある。
入選
一斉に草の絮とぶ旅鞄 麻美
秋深し投票場の仕切り板 sooshi
深秋の蔵出し麹味噌の色 美砂子
秋深し旧街道の鬼おろし モネ