第57回ネット句会結果

十二点句 
冬麗の空広げ行く庭師かな      健
十点句  
セーターに首を通せば山見えて    瑞正
七点句  
百の碗並べば餅の搗きあがる     浩
六点句  
風音か獣の音か餅焦がす       小芥子
軒先に干されし鮭の面構へ      吾浪
よそ行きの顔よそ行きの白セーター  菊恵
首根っ子掴まれ大根引かれをり    瑞正

藤本美和子主宰選
特選
風音か獣の音か餅焦がす       小芥子     
近頃の熊や猪の騒動なども思われる。俳句的表現が秀逸。
入選
あの椅子とこのセーターと母のこと  雅子
一枚は栞となすや柿落葉       京子
恋の日のセーターの編目の固き    花うさぎ
亡き母のセーター袖を通しけり    礼子
        
菅家瑞正選
特選
冬麗の空広げ行く庭師かな      健
広い庭園に於ける枝切り作業の光景か。中七の措辞が巧妙な描写。
入選
餅搗やふんだんの火と水と声     浩
揺れやみて空青くなる冬柏      菊恵
セーターを編むひとときや鳥の声   葉子
千両のひと枝活けてもてなされ    志向

陽美保子選
特選
天狼を輝かしたる富士の風      モネ
天狼と富士の風の取合せにより大柄で格調高い句となった。
入選
蒼天に顎上げて年惜しみけり     瑞正
セーターに首を通せば山見えて    瑞正
波郷墓前百万本の霜柱        春子
セーターの肩甲骨と鎖骨かな     のびる