互選高点句
十三点句
夕空を一筆書きに夏つばめ 健
八点句
国引きの神話のありし磯の蟹 隆行
マネキンの鎖骨すつきり夏兆す 荒一葉
七点句
なんじやもんじや咲いて今昔物語 菊恵
影を追ひ影に追はるる水馬 春子
ゆふぐれは水辺の匂ふ桜の実 小芥子
脱ぎ捨てる紺の背広や冷奴 音思
あはうみを見に行くといふ白日傘 小芥子
藤本美和子主宰選
特選
タップ踏む白靴の音そろひけり のびる
句意、表現、切字が見事に決まり、タップを踏む音が聞こえる。
入選
沢蟹や時時刻刻の水の色 玖
つれづれを小蟹と遊ぶ忘れ潮 優
シーサーのあひだをとほる日傘かな 麻美
毛虫焼く戦の記事と共に焼く 志向
菅家瑞正選
特選
過ぎし日を呼び戻したき麦の秋 優
黄金色に熟した噎せ返るような「麦の秋」。望郷色の濃い一句。
入選
もつるるもなき浮草の流れかな 他家人
予定表埋めて八十八夜かな 玖
樟若葉三尺離れ仰ぎたる 礼子
老鶯や業平竹を立たしめて 春子
陽美保子選
特選
あはうみを見に行くといふ白日傘 小芥子
「あはうみ」が効いている。白日傘の佳人を思う。
入選
石段や放生池の蟇のこゑ モネ
ゆふぐれは水辺の匂ふ桜の実 小芥子
鳶のこゑ風にまぎるる籐寝椅子 モネ
磯蟹の出でては波をよく浴びて 他家人
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