第26回ネット句会結果

互選高点句	
十三点句  
 夕空を一筆書きに夏つばめ     健
八点句  
 国引きの神話のありし磯の蟹    隆行
 マネキンの鎖骨すつきり夏兆す   荒一葉
七点句 
 なんじやもんじや咲いて今昔物語  菊恵
 影を追ひ影に追はるる水馬     春子
 ゆふぐれは水辺の匂ふ桜の実    小芥子
 脱ぎ捨てる紺の背広や冷奴     音思
 あはうみを見に行くといふ白日傘  小芥子

藤本美和子主宰選
特選
タップ踏む白靴の音そろひけり    のびる
 句意、表現、切字が見事に決まり、タップを踏む音が聞こえる。
入選
沢蟹や時時刻刻の水の色       玖
つれづれを小蟹と遊ぶ忘れ潮     優
シーサーのあひだをとほる日傘かな  麻美
毛虫焼く戦の記事と共に焼く     志向

菅家瑞正選
特選
過ぎし日を呼び戻したき麦の秋    優
 黄金色に熟した噎せ返るような「麦の秋」。望郷色の濃い一句。
入選
もつるるもなき浮草の流れかな    他家人
予定表埋めて八十八夜かな      玖
樟若葉三尺離れ仰ぎたる       礼子
老鶯や業平竹を立たしめて      春子

陽美保子選
特選
あはうみを見に行くといふ白日傘   小芥子
「あはうみ」が効いている。白日傘の佳人を思う。
入選
石段や放生池の蟇のこゑ       モネ
ゆふぐれは水辺の匂ふ桜の実     小芥子
鳶のこゑ風にまぎるる籐寝椅子    モネ
磯蟹の出でては波をよく浴びて    他家人