互選高点句
十七点句
山眠る火入れ間近の登り窯 憲明
十点句
尾白鷲舞ひ来て漁港動き出す 隆夫
九点句
待春や無人ゴールに蹴るボール 荒一葉
八点句
電飾の外されし樹の冬芽かな 志向
浮島を動かぬ鳥や紙懐炉 春子
墨の香も色も深まる冬籠 雅子
藤本美和子主宰選
特選
虎落笛花瓶の口の反りにけり のびる
三具足の一つ「けびょう」を思わせるのは偏に季語の力である。
入選
浮島を動かぬ鳥や紙懐炉 春子
日曜の海へ向かへる暖房車 モネ
暖房の列車は富士を過ぎたらし 茂樹
寒日和初版の青のインクかな まり
菅家瑞正選
特選
山眠る火入れ間近の登り窯 憲明
枯山の傾斜面に設けられた「登り窯」。冬山の景、風情が伝わる。
入選
待春の花屋に低き灯かな 雅子
大寒の月が影生す甍かな 由美子
投函のかそけき音や冬の月 陽子
エチュードの子の指軽し毛糸編む 正恵
陽美保子選
特選
大樟に触れたる寒のたなごころ 美砂子
寒中、大木に生命力をいただく。寒のたなごごろという措辞がいい。
入選
暖房や図書館の椅子深くして 小芥子
春近き豆大福の豆の数 小芥子
虎落笛花瓶の口の反りにけり のびる
源流をたどれば寒のひとしづく 千寿子
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