第32回インターネット 句会結果

互選高点句	
十三点句 
をりをりの母のひと言枇杷の花    タミ子
九点句 
手に包む茶碗の丸み冬ぬくし     ひろし
三脚をどこに立てても冬ざるる    麻美
八点句	
ありてなき綿の重さよ雪ばんば    しんい
七点句 
川幅を使ひきつたる鴨の陣      タミ子
冬ざれやホームの端の切符入れ    葉子
月蝕の海底奔る海鼠かな       千寿子
菰巻の腰の高さに揃ひたる      りり子

藤本美和子主宰選
特選
月蝕の海底奔る海鼠かな       千寿子
 大胆な発想が生きるのも、皆既月蝕が現実に起きた現象所以。
入選
冬ざれの水琴窟に屈みをり      紀久子
冬ざれの河原に愛づる石二つ     ほとり
折り紙の兎の耳や小六月       のびる
裏山に沈む太陽狸汁         小芥子

菅家瑞正選
特選
巫女の花簪に降る木の葉雨      隆夫
神社の境内の神楽殿に於ける巫女舞の様子が華麗に描かれている。
入選
夜に入りて雨となりたるおじやかな  小芥子
凩のころがつてくる山路かな     義久
薄日さす低き棚雲一葉忌       正恵
時雨るるや沓脱石の黒の濃く     由美子

陽美保子選
特選
三脚をどこに立てても冬ざるる    麻美
一面蕭条とした冬景色。表現に工夫があり俳諧味がある。
入選
冬ざれやホームの端の切符入れ    葉子
信号の赤の向うや冬ざるる      のびる
冬ざれや卵の黄身に血のにじみ    せんかう
カナリヤの籠を吊るして枯れすすむ  麻美