藤本美和子抽出 三月 啄木鳥の落としし屑も初景色 陽美保子 (三月集) 遠くから手ぶらで来たる裘 植竹春子 ユーカリもアロエも青き冬籠 伊藤麻美 潮入の洲浜の石の淑気かな 小山草史 十二月八日の箸を使ひけり 山梨菊恵 (石泉集) 異界より付けて来し綿虫の綿 取違憲明 正月の松を選びてくる鳥よ 木本隆行 閂を外せる音の淑気かな 高砂浩 木像の一刀彫や雪催 平手ふじえ 双六をひろげて遠き故山かな 星井千恵子 勝札の勝の一文字日短 永岡美砂子 フラメンコギターやポインセチアの緋 石井タミ子 水切りの一二三四春隣 小川吉彦 供花の香のひときは強き冬至かな 川岸雅子 包丁を噛んだる冬至南瓜かな 大島知子 瞬きをして三つ星を見失ふ 小宮由美子 初鳩の舞ひ上がりたる汀かな 遠藤久江 乳呑児のもう一人増え初写真 市村ひとみ 大吉と出て初空の蒼さかな 今井眞弓 指先に浜砂ぬくき初景色 佐藤順子 (泉集)