一月 湖西線
ひと時雨ありたる秘仏をろがまむ
淡海の北の辺りや帰り花
老松の風聞きをらむ浮寝鳥
鳥を見て湖を見て暮早し
笹鳴の方へ方へと疎水かな
立像と坐像に見え日短
大年の西国十四番札所
笹子鳴く柿本多映の句碑の影
掻きあつめをるはおほかた椋落葉
鷗らは年の別れの翼立て
二月 淑気
狐の嫁入り大綿がついてくる
極月の僧侶が話す鯉のこと
歳晩の切株があり坐りけり
依代の松に鴉や寒波急
獅子舞の口をひらけば松に風
獅子舞に仕へてゐたる囃子方
ひよつとこの顔天に向く淑気かな
初晴の孟宗竹の林かな
焚上げの煤の降りくる初山河
人の日の若草色の出雲菓子