一月 大安
うしろ手に提げてゐたるは烏瓜
狐の嫁入菩提子を降らせしか
鳥のこゑ日ごとに鋭しや蔦枯るる
喉かわく銀杏落葉の明るさに
黄泉比良坂綿虫は翅立てて
雲腸を喰うて遠目が効きゐたる
鮟鱇の七つ道具と日捲りと
留守番の子に朱欒でもむいてやろ
柿落葉二枚陣中見舞とて
大安といふ日のポインセチアかな
二月 初景色
今生のいろたふとしや竜の玉
ひむかしに昼の月ある浮寝鳥
トランプのジョーカーのこる年忘
男らの素手働きや注連を張る
大年の木綿付鳥に付いてゆく
手をひらき手を結びたる初景色
広げたる翼のしろき初山河
老人が声をかけたる初鴉
松過ぎの衣嚢に合鍵がひとつ
七草のいろをそろへて家長たる